近畿北陸歯学大会という歯科関係の集まりが京都であり、基調講演の茂木健一郎氏を拝聴してきました。もともと脳科学者として大変有名ですが、最近はNHK連続テレビ小説にも出演され多様な活躍をされている先生です。金沢ではなかなか著名な先生の講演を聞けないので、半分ミハー感覚ではありますが京都まで行ってきました。演台に向かってスタンドマイクを片手に講演するのかと思いきや、登場するとすぐにスタンドからマイクをとり、舞台の最前線に出て観客に話しかけるように講演を始めました。登場も背筋を伸ばして歩くのではなく、申し訳なさそうにちょっと猫背っぽく、本人も言ってましたが欽ちゃん走りのように登場、大変フレンドリーな先生です。いい意味で期待を裏切られました。内容は、今でも日本では学歴社会が残っており、偏差値の高い大学への入学が一番と考えられていますが、コンピューターによる人工脳は人間の脳を超えるときが来る。コンピューターの性能の発達は18カ月(だったと思う)で性能は2倍になり、人間の脳はそんなことはあり得ない。それを考えると必ず人工脳は人間の脳を超えるときがあり(すでに超えているかもしれない)、人間は人間らしい役割を考えたほうが利口である。人工脳に不可能なことは雑談、いわゆるコミュニケーション能力はまだ作り出すことはできない。ケンブリッジ大学では入学試験の面接に2時間かけ「植物はなぜ歩けないのか?」という問題をディスカッションしている。ひとつの答えがないことをとことんまで話し合う、そんな能力が必要でこれからは成長させる必要があると。確かに大学を卒業し医局に入局したころに上司に「これからは喋れてなんぼや」と言われたことを思い出しました。その頃は「へー」くらいにしか思っていませんでしたが、30歳あたりをこえると分かるようになりました。コンピューターに頼るところは頼る、そうでないところは人間が研鑽する、人間らしく生きようと思いました。他にも、色々な交友関係の方の脳を分析したりで80分はあっという間でした。午後の歯周再生治療の講演も聴き、サイトカインから骨再生を行っている素晴らしい結果を見せてもらいましたが、なかなか開業医レベルではマンパワー、研究施設、資金などの問題で臨床応用できるのはまだまだ先かなと会場をあとにしました。