なんぶ歯科クリニック

金沢の(公社)口腔外科学会専門医 歯科、口腔外科、小児歯科

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嚥下運動に関する講演について  その2

食品による窒息年間死亡者は4000人で65歳以上、4歳未満が多い。最近よく聞かれる食事時の子供の質問として①うまく噛めない、②硬い食物を噛むと顎が痛い、③口が開きにくい、④水や牛乳がないとなかなかのみこめない、があるがこれは嚥下障害の1次予防につながっている。子供の咬合・咀嚼能力が低下している要因として食の欧米化がすすみ、カレーライス、ハンバーグ、ラーメンなどのやわらかく噛みごたえのないものや、食物を噛まずに飲み込む傾向があり、さらには食物繊維を多く含み咀嚼筋活動量の多い野菜などが敬遠されていることにある。

乳児は成人の口腔・咽喉頭と比較して口腔容積が小さい、歯がないので咀嚼・食塊形成しにくい、中咽頭が短いので嚥下性無呼吸の時間が短く誤嚥しにくいとされている。食べる力を育てるには、その機能の発達を理解したうえで、適切な時期に咀嚼練習を働きかけることが重要である。生後一年までは哺食から始まり離乳期を経て自食を学習し、生後一年からは食器具を使い様々な食形態を段階的に学習する期間である。哺乳期は生後から生後5か月で胎児期より洋水を使って嚥下の練習をし、原始反射をしている。乳児期の栄養法が母乳栄養か人口栄養価によって幼児期の咀嚼能力は異ってくる。離乳期は初期(生後5~6か月)嚥下運動、丸飲み、中期(7か月)補食運動、送り込み、後期(生後9~11か月)押しつぶし、すりつぶし、が行え、離乳開始のポイントは原始反射が消失していること、くびが据わっていることである。自食期は手づかみ食、器具食べに移行する時期で(生後12か月~)詰め込みやまる飲みするので食べる機能を超えた食事が提供されると誤嚥・窒息事故につながる。窒息予防として一口量は無理なく食べれる量にする、目標は一口30回噛む、口の機能に適した食形態を選択することである。嚥下獲得の発達と減退は対称的に経過するし、このようなことを考慮し慢性期の高齢者歯科医療に栄養士会と共に取り組んでいく必要があると述べた。