4年前の11月1日にこの地で開業させていただきました、今月で5年目に入りました。その間多くの患者さんに来院して頂き、多少は地域医療に貢献できているのかなと感じております。先日、NHKのプロフェッショナルという番組で山形県酒田市の熊谷崇先生が取り上げられていました。全国的にも予防歯科ではかなり有名な先生で歯科医師を対象としたセミナーを開催して予防歯科のシステムを教えております。熊谷先生は患者教育を徹底しており、初診で来院してもいきなり歯の治療をすることはありません、まずは口腔内の検査を徹底的に行い虫歯、歯周病などの疾患の原因を調べ、磨き残しがあると患者自身でプラークコントロールできるようになるまで虫歯の治療を始めません。すぐに治療してもプラークコントロールができなければまた虫歯になるからです。テレビに紹介されていたケースでは通院5回目くらいは歯のクリーニング、検査のために歯科医院に通い、その後治療が開始されていました。ただ患者側としては治療に来ているのにクリーニングばかりだと納得がいかず、このようなシステムを取り入れても最初はほとんど患者はついて来なかったそうです。患者と喧嘩になったり文句を言われたりは日常茶飯事だったそうです。初診で虫歯の治療に来院しても次の予約には来ない、治療が終ってメンテナンスの予約しても無断キャンセル。半分の患者に予防の重要性が伝わるまでに15年かかったそうです。ぶれずに自分の信念を貫き通した熊谷先生はすごいです。私も予防の重要性は理解しているつもりで、理想はこのようなシステムを取り入れることだと思います。ただ患者さんはプライベートな時間を割いて歯科医院に通院しており、仕事をしていると頻回に通院を求めることは困難なのも分かります。実際私も大学勤務でしたから・・・。しかし予防はやり続けないと効果はないし、やり続けても虫歯にならない確立100%になるのではなく、近づけるだけです。ただ、歯科の疾患特に虫歯、歯周病に関しては自己管理、メンテナンスで歯の寿命は大きく変わります。熊谷方式を取り入れることは難しいですが、患者への啓蒙活動を徹底し、自分の口腔内に興味を持って頂き、分かりやすい説明をしなければと5年目を迎えて再認識しました。