日本人の平均寿命は常に世界の上位にあります。
これは、日本の国民皆保険制度、学校や職場さらに地方公共団体などにおける法令で決められた健康診断と、人間ドックなどの医療制度の充実が一助となっているのは間違いないでしょう。
さまざまな病気について早期発見が可能なら、病気は治癒する可能性が上がり、さらには合併症の減少につながります。
これは予防医学といわれていて、検診や人間ドックを受けることで病気の早期発見につながります。
歯科においても、従来の治療型からメンテナンス型を主とした予防中心型へ移行しています。
8020運動や健康日本21などの口腔健康施策の結果、明らかに20年前の状況に比べると現代人の口腔内状況は良くなっていますが、歯科先進国と言われている欧米や北欧に比べると、日本は予防に関する意識が低く、定期検診などの目的での受診率は驚くほど低いのが現状です。
これまでの日本は予防型受診ではなく、治療型受診で、自覚症状もしくは何らかの他覚症状が出てから歯科治療を行います。
それにより虫歯が進行してしまい大きく歯を削って詰めるを繰り返し、最終的には状態が悪化し抜歯・・・、その後は義歯、ブリッジなどという症例に目にします。
参考ですが、修復物と補綴物(プラスチックや銀歯などの詰め物)の平均的な維持期間はレジン充填5.2年、インレー5.4年、クラウン7.1年、ブリッジ8.0年など(Morita et al.1995)となっています。もちろんブラッシング指導を受け、メンテナンスを行うことで維持期間を延長することは可能だと思いますが、永久に使えるというものではありません。
口腔内疾患のほとんどは適切な治療を行えば経過良好な病気であるにもかかわらず、患者さんは痛みなどの自覚症状がないとなかなか歯科医院からは足が遠のくと言います。
しかし虫歯とは、ごく初期では自覚症状が現れないために進行してしまい、中には歯の中の神経が死んでしまって痛みが消え、治癒したと勘違いしてそのまま放置してしまう症例もあります。
やはり自分の歯が一番です。予防が大事であることをもっと知っていただきたいと強く思います。
そのために歯科関係者は、患者さんが感じる治療時の痛みや恐怖心を理解することに加え、「定期健診や予防についての重要性をわかりやすく患者さんが理解できるように説明し、早期発見早期治療を行えば負担が少ない」ということをもっと浸透させられるように啓蒙活動をしなくてはいけないと感じています。